あの日亡くなった「ちゅうちゃん」 母の原稿で初めて知ったこと

 寒い冬の夜、自室のパソコンで開いた原稿は、18年前のあの日の記憶から始まっていた。

 福岡市の安達七海(ななみ)さん(25)は一文一文を丁寧に目で追うにつれ、手が震え目頭が熱くなった。原稿に記されていたのは、初めて知る母の苦しみ。そして8歳上の兄「ちゅうちゃん」のことだった。

 友達が多くて、サッカーや釣りが大好きだった、ちゅうちゃん。青空が見えると外に駆けだしていった。

 その背中をいつも追っかけ回した。けんかすることもあったが、兄はその度に振り返り、困った顔をしながらも待っていてくれた。家族でよく行ったキャンプでは、率先してテントをはったり、火をおこしたり。青空の下で汗を流す兄は頼もしかった。

 しかし、あの日、事件は起きた。

 2004年3月10日。その…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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