あの日取った1本の電話 35年前の支局襲撃 兵庫県警元幹部の悔恨

 1987年5月3日、兵庫県西宮市の朝日新聞阪神支局に男が侵入して散弾銃を発砲し、記者2人を殺傷した。犯行声明を報道機関に送りつけながら「赤報隊」は事件を重ね、いずれも未解決のまま2003年に完全時効となった。

 35年前の憲法記念日に放たれた銃弾は、分断と不寛容が指摘される現代に、何を問いかけているのか。元兵庫県警捜査1課長の山下征士さん(83)は「とげが残ったまま」と言う。

 やました・せいし 1938年、鹿児島生まれ。58年に兵庫県警採用。「グリコ・森永事件」などの捜査に当たった。96年に捜査1課長に就き、神戸連続児童殺傷事件の捜査を指揮した。98年に定年退職。未解決に終わったグリコ・森永事件や阪神支局襲撃事件の経緯や後悔についてまとめた著作「二本の棘(とげ)」(角川書店)を今年3月に出版した。

 事件発生当時に山下さんは県警捜査1課の班長だった。98年に退職した後も事件の報道のスクラップや録画を続け、本を集めている。「私の中では時効はない」

 今も気になっている1本の電話がある。

 事件発生直後の未明だった…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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