大学と権利を共有している特許契約で不正をしたとして、京都工芸繊維大(京都市左京区)に懲戒解雇された森肇・元副学長(60)が近く、大学側に解雇処分の取り消しを求める訴えを京都地裁に起こす。元副学長が取材に明らかにした。
元副学長が設立したベンチャーは、薬のカプセルに応用できるたんぱく質を作る方法の特許を大学と共有していた。大学は12日、元副学長が2015年に英国企業と特許の使用契約を無断で結び、17年には関連特許の申請時に大学を出願人から勝手に外したとして、同日付で懲戒解雇したと発表。その際、元副学長が一連の行為が発覚しないよう大学事務局職員に働きかけていたとも説明した。
元副学長は取材に「使用契約は大学の了解を得て進めていた。関連特許の申請も、大学が決裁を滞らせたため、やむなく出願人から外し、後から追加する予定だった」と主張。事務局への隠蔽(いんぺい)協力の働きかけも否定し、「弁解の機会も不十分のまま、いきなり懲戒解雇するやり方は『粛清』だ」と訴えている。
大学の担当理事は取材に「訴状が届いていない段階でのコメントは差し控える」と話した。(野中良祐)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル