いじめで不登校、学校からの認知報告は卒業後 保護者は再調査求める

 埼玉県三郷市の小学校で2022年、いじめ防止対策推進法に基づく重大事態と認定される事案があり、市の第三者委員会が調査報告書をまとめていたことがわかった。学校の対応に大きな問題はなかったとする内容で、保護者は再調査を求めている。

 被害者は当時小学6年の児童。保護者の訴えや報告書によると、児童は22年4月以降、同級生1人から「陰キャ」「パシリ」「家畜」「負け組」などと言われた。その後、学校を休んだり保健室登校をしたりして、2学期以降は不登校状態になった。中学2年になった現在も登校できていない。いじめによるストレスで自傷行為があり、重度ストレス反応及び適応障害と診断された。

 重大事態は、いじめにより欠席を余儀なくされた疑いがある日数が年間30日に達したかが目安になる。22年9月にこの要件を満たしていたが、学校から市教育委員会に重大事態の認知報告があったのは、保護者が県教育局に学校の対応を相談し、児童が卒業した後の23年7月だった。

 報告を受け、市は8月に第三者委を設置。今年2月に報告書をまとめ、3月、木津雅晟市長に提出した。

 第三者委の調査に対し、学校側は認知報告が遅れた理由を「保護者の意向を確認した結果」と説明する。

 しかし、第三者委は報告書で「あたかも保護者の意向で重大事態認定が左右されるような理解が存在したことは大きな問題」と指摘。そのうえで「両者の意思疎通のすれ違い」に言及し、「学校側にいじめに対する対応義務に違反することは認められなかった」とした。

 保護者は朝日新聞の取材に対し「学校はなかなか事実確認をせず、保護者への十分な説明もなかった。いじめを隠蔽(いんぺい)し、重大事態にすることを避けようとしていると感じた。学校の対応が適切だったとは思えない」と話し、再調査を求めている。

 市教委は報告書が市長に提出されたことは認めたが、内容などについては「個別の案件なので、回答は差し控える」としている。(伊藤悟)

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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