植松佳香 狩野浩平
いじめから子どもの心身を守るためにつくられた「いじめ防止対策推進法」の施行から28日で10年。被害者が心身に重い傷を負った場合などに認定される「重大事態」は後を絶たず、早期の発見・対応が不十分な現状が浮かぶ。
東京都内に住んでいた女性(50)は昨年4月、小2だった次男(8)から、クラスのある男子にたたかれることが1カ月ほど続いていると打ち明けられた。すぐに学校に連絡し、その後も次男が被害を訴える度、担任に相談した。
相手は「偶然当たった」と主張することが多く、謝罪はするものの、たたく行為を繰り返した。次男は急に泣いたり、夜中に何度も目を覚ましたりすることが増え、学校に行けなくなった。昨年6月に適応障害と診断された。学校は診断の翌日、ようやくいじめ案件として教育委員会に報告。7月に重大事態と認定された。女性は「初期段階で学校がいじめと認めて適切に対応していれば、次男はここまでつらい思いをしなくて済んだはず」と憤る。
一方、いじめへの対応の難しさに教員が苦慮する事例も起きている。
元教員の30代女性は、都内の小学校で6年の担任をしていた5年前の秋、2人の女子児童AとBから「いじめられている」と訴えられた。Aは中学受験の志望校変更をBに言いふらされた、BはAに自分の悪口を言われたという内容。双方の保護者も「いじめだ」と訴えてきた。
女性は両者に、席を離し、班…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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