堤恭太
埼玉県川口市立中学校の元生徒(18)が受けたいじめに関する公文書について、市教育委員会は28日、136カ所を「修正」したと発表した。元生徒側が36カ所の訂正を求めて市教委を提訴していた。市教委は母親の名前や日時、「て・に・を・は」などの助詞を直しただけで「訂正ではなくあくまでも修正」と主張。訴状はまだ届いていないため「読んではいない」としている。
元生徒側は情報公開された公文書に対して78カ所の訂正を求めたが3月30日に不訂正が決定された。それを受けて今月21日、78カ所のうち間違っている証拠がある36カ所に絞り、不訂正決定の取り消しを求めてさいたま地裁に提訴した。
森田吉信・市学校教育部長は28日、訴状が届いていないにもかかわらず対応を発表したことについて、「提訴の報道を受けて市教委側の対応を説明する必要があると判断した。(提訴前の)9日には精査を終えていた」と説明。裁判では争う可能性が高いとの認識も示した。
訂正する場合は、不訂正決定を取り消して訂正部分を示す必要があるが、「訂正ではない。修正。公開した公文書は内部文書的なもの」と話し、根拠として「自己(元生徒)に関する個人情報ではない」などとした。
母親の名前が違っていたことについても「母親の名前は元生徒の個人情報ではない」「(書類作成の際の)変換ミス」と述べ、「訂正ではなく、修正で対応した」と結論づけた。
136カ所には元生徒側から指摘された部分もあるが、市教委独自で判断したものもあるという。ただ、修正したのは母親の氏名の間違いなど単純ミスとされるものだけとした。認識や評価を記載した部分は「事実と異なっていても、当時の認識を変えることはできない」との考えを示した。
元生徒の母親の森田志歩さんは「報道機関に説明するより、まず当事者に説明するのが先ではないか」と述べ、「息子の個人情報として開示された公文書なのに個人情報ではない部分があるというのはおかしいのではないか」と批判した。(堤恭太)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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