福岡県太宰府市の私立筑紫台高校3年の男子生徒(当時18)が2013年に自殺したのはいじめが原因だったとして、遺族が同校を運営する学校法人・筑紫台学園に計約9500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が22日、福岡地裁であった。小野寺優子裁判長はいじめによる自殺と認め、学校側がいじめを防ぐ義務を怠ったとして約2600万円の支払いを命じた。
生徒は13年11月、福岡県春日市のマンションから飛び降りて亡くなった。近くにあった携帯音楽プレーヤーに元同級生らの名前や「絶対に許さない」などのメモが残されていた。遺族は16年10月、元同級生8人と筑紫台学園を提訴。1年生の2学期ごろから元同級生から殴る蹴るなどの継続的、集団的な暴力を受けたと訴えた。
元同級生とは賠償金の支払いや謝罪を受けることで和解が成立したが、筑紫台学園側は訴訟で「いじめはなかった」と主張し、自殺との因果関係も否定していた。一方で、学校がいじめ防止対策推進法に基づき設置した第三者委員会は15年3月、いじめがあったと認め、「(自殺は)いじめとの因果関係が明白に認められる」とする報告書をまとめていた。
判決は、教諭が実際に生徒がいじめられている現場を確認していたのに校内で情報共有や調査をせず、生徒に対する安全配慮義務を果たさなかったと指摘。「いじめ問題への感受性が鈍く、発見の端緒が見逃された」と結論づけた。遺族が求めた謝罪文の校内掲示は認めなかった。
判決後の記者会見で、生徒の父親は遺影に向かって「良かったね。こんなにいい判決が出るとは思わなかった」と語りかけ、声を詰まらせた。「これまで学校からの謝罪は一言もなかった。二度とこういうことが起きないように願うばかりです」と話した。
筑紫台学園は代理人弁護士を通じ「判決は重く受け止める。判決文を精査し、弁護士と協議して適切に対応していく」とするコメントを出した。(山野健太郎)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル