2022年度の文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校調査」では、いじめの被害者が心身に重大な傷を負う「重大事態」は前年度から3割以上増え、923件で過去最多だった。そのうち約4割の事案では、重大な被害を把握する前にいじめと認知していなかった。いじめの早期発見・早期対応が依然として大きな課題となっている。
重大事態は13年施行の「いじめ防止対策推進法」で規定された。①生命、心身、財産に重大な被害が生じた疑いがある場合と、②被害者が長期欠席を余儀なくされている疑いがある場合に認定される。22年度は①は448件、②は617件だった(重複して認定される事案もある)。①の被害内容の分類では、「精神」が247件で最も多く、「身体」86件、「生命」76件、「金品等」39件と続いた。
国はいじめの深刻化を防ぐためには早期発見・早期対応が重要だとして、教育現場に積極的な認知を呼びかけてきた。認知件数は増え続け、22年度は68万1948件(前年度比10・8%増)で過去最高となった。
一方、重大事態も増え、22年度は923件で前年度から30・7%も増えた。このうち、重大な被害を把握する前にいじめと認知していなかったのは357件で38・7%(前年度43・9%)を占めた。357件のうち151件では、いじめに該当しうるトラブルなどの情報がありながら、いじめとして認知していなかった。文科省は「学校としてのいじめの認知や組織的な対応に課題がある」としている。
いじめの早期発見・早期対応がうまくいかず、心身に深い傷を残す例は後を絶たない。国は学校などによる重大事態調査の目的を「全容解明と同種事案の再発防止」と位置づけるが、調査結果から学校側が十分に教訓を得ているか、保護者が疑問視するケースもある。
「17日早くいじめ認知したことになっている」
千葉市に住む50代女性の長…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル