いじめ認定まで18年、報告書が指摘した市教委の「つじつま合わせ」

 小学校で起きたいじめを、18年かかって教育委員会が認めた。教委はさらに、この間続けてきた隠蔽(いんぺい)についても初めて認めた。「認めて当たり前のもの。18年間、なぜ認められなかったのか」。社会人になった当時小学5年生だった男性は憤りを隠さない。

18年越しの謝罪、どうして

 神戸市教育委員会の第三者委員会が、2005~06年のいじめとその後の対応について、学校や市教委の対応を厳しく批判する調査報告書をまとめました。市教委は長年続けてきた説明を翻し、謝罪する異例の展開に。なぜ問題はここまでこじれ続けたのか。11日に公表された調査報告書から振り返ります。後段の年表では問題の経緯と、第三者委の意見を紹介しています。

 神戸市教育委員会の第三者委員会が、2005~06年のいじめとその後の対応について、学校や教委の対応を厳しく批判する調査報告書をまとめた。教委は長年続けてきた説明を翻し、謝罪する異例の展開に。なぜ問題はここまでこじれ続けたのか。11日に公表された調査報告書をもとに振り返る。(小川聡仁)

 「いじめの認定までに約18年の年月を要してしまった。あまりに消極的な姿勢であったといわざるをえず、もっと徹底した調査を行うべきだった」。19日の神戸市議会教育こども委員会。市教委の長田淳教育長は厳しい表情で頭を下げた。

 神戸市立小学校で05~06年、小学5年の男児が同級生から暴行や金銭の要求を受けた。大阪高裁は09年、暴行などをいじめと認め、加害者側に慰謝料の支払いを命じた。しかし市教委側はそれ以降も「いじめの可能性が高いが断定はできない」という立場をとってきた。被害者側は「いじめの存在を隠蔽された」と訴えたが、市はそれも否定していた。

翻った見解

 問題について調べていた第三者委の調査報告書は今月11日、改めていじめを認定。これを受け市教委は、いじめがあったことを初めて明確に認めた。報告書はまた、当時の記録を被害者側が情報公開請求したものの、市教委が隠蔽していたと指摘。市教委は19日の市議会で、この指摘を受け入れる姿勢を初めて示した。報告書に沿うかたちで、これまでの見解を次々に翻したことになる。

 報告書は、学校や市教委の対応を厳しく批判した。そのひとつは初期対応のまずさだ。

学校の対応、「場当たり的」

 いじめが発覚した当初、学校と市教委は「いじめがあった」と認識していたが、その後説明を変え、「いじめであるか判断できない」という主張を続けるようになった。

 この経緯について報告書は…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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