いつかバジルのように ドローンで見た緑の円形水槽が秘める可能性

西岡臣

「南伊勢マリンバイオ」のスジアオノリ陸上養殖施設

 お好み焼きや焼きそばでおなじみの「スジアオノリ」。ドローンを飛ばし、陸上養殖施設を上空からのぞくと、大小異なる水槽の円形がずらりと並ぶ。

 南伊勢マリンバイオ(三重県南伊勢町)では、乾いた重さで年間約4・8トンを生産している。培養室でできた株を屋外の水槽に移し、成長に合わせて直径1メートル、同3メートル、同7メートルと徐々に広くしていく。培養室から出されて4週間ほどで長さ70センチほどに成長し、冷風乾燥の後、出荷される。

 スジアオノリは近年、海水温の上昇や、海中の窒素やリンなど栄養塩の不足で全国的に生産量が減少傾向にある。そうした背景から、同社は2020年、環境分析などを手がける東海テクノ(同県四日市市)のグループ会社として設立された。7年ほど前、当時東海テクノの専務だった田中正広社長が新規事業としてスジアオノリの陸上養殖に可能性を感じたことが始まりだ。

 事業を始めるにあたり、水温や栄養分などについて研究や実験を重ねた。夏場の高温に株が耐えられないなど失敗もあったが、試行錯誤の末に年間を通じて安定して生産できるようになった。こまやかな品質管理が強みで、「1次産業というより、食品メーカーに素材を提供する工場に近い」と田中社長は話す。

 「色んな料理に使われるバジルのように、スジアオノリを身近な存在にしたい」。香りの良いスジアオノリを広げたいと意気込んでいる。(西岡臣)

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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