いつもドアたたくと「はい」と出てくるのに 郵便局員が気づいた異変

高木文子

 ノックすると、鍵のかかったドアの向こうから「助けてください」というか細い声が聞こえてきた。

 2月16日の昼下がり。岐阜西郵便局員の紺田龍司さん(29)が岐阜市内の一軒家に配達に訪れた時のことだ。住民の80代の男性はなじみのお客さん。いつもあいさつを交わし、ドアをたたけば「はい」と返事をして出てきてくれる。ドアが開くまでの時間も想像できた。

 「助けなきゃ」。郵便配達をして9年目。初めての経験だったが、その後の対応は冷静だった。

 まずは「状況の把握」と心を落ち着かせた。「いつから倒れていますか」「近くに携帯電話はありますか」。男性とやり取りしてから110番通報し、たまたま家を訪れた男性の同僚にも声をかけ、手分けして救急車を呼んだ。

 「日ごろから地域でしっかりあいさつしてコミュニケーションしていたおかげで、わずかな異変に気づくことができた」と紺田さん。つまずいて玄関前で倒れていた男性は病院に搬送され、命に別条はなかったという。「とても安心しました」

 人命救助に貢献したとして、紺田さんには3月8日、岐阜県警岐阜北署から感謝状が贈られた。加藤強署長は「機転の利いた対応で尊い命を救うことができた。本当に素晴らしい」とたたえた。(高木文子)

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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