大阪・関西万博に向けて活動する「WAKAZO」代表の松井瞳さん
万博に興味を持ったのは高校生の時です。祖母に1970年の大阪万博の話を聞くと、楽しそうに思い出を語ってくれました。ずっと記憶に残る万博というイベントに関わりたい思いがありました。そして医療・ヘルスケアをテーマに出身地の関西で新たな万博が開かれることにもひかれ、大学に入って「WAKAZO」に加わりました。
まつい・ひとみ 全国の主に医療系の学生が加わる団体「WAKAZO」代表。2003年京都市生まれ。東京医科歯科大学歯学部3年生。
WAKAZOは万博の誘致に協力するため、2016年に結成された学生団体です。誘致決定後も万博に向けて活動を続け、現在は北海道から九州までの大学生、高校生ら約20人が所属しています。
万博では来場者の方たちの心拍数などの「ヘルスケアデータ」を任意で提供してもらい、それを誰かのいのちを守るために生かす「inochiのペイフォワード」という取り組みを実現したいと考えています。ペイフォワードとは、多くの人が親切の輪を広げることです。「献血のデータ版」だと考えれば分かりやすいと思います。例えば万博は真夏にも開かれるので、熱中症になるかもしれません。来場者の腕や腰につけた機器が計測したデータから会場のどこで体温や心拍数が上がるかが分かれば、熱中症を防ぐことができるかもしれません。
自分のデータがどう生かされたのかも分かるようにして、自分の意思で提供したデータが誰かのいのちを救うって良いな、と感じてもらえればうれしいです。
また、会場内に「若者の秘密基地」のような場所も作って、世界中の人たちが対話できるようにしたいと考えています。例えば死生観をテーマにして、亡くなる時にどんな一言を自分や家族らにかけたいか考えれば、今をこう生きようとか、「生」を見つめ直すきっかけになると思います。
情報は何でもネットで知ることができる時代。私も物心がついた時からネットがそばにあった「Z世代」です。でも万博は、情報を探しに行くだけの場所ではないと考えています。その場所でしか味わえない空気感や、隣にいる人との出会いなどがあると思います。万博で見たものを自分で作りたいと考える若者や子どもたちもいるでしょうし、万博は昨日ではなく明日を考えることができる場所ではないでしょうか。
東京の大学に通っていると、関東はまだ万博の機運が高まっていないように感じています。今後は各地の若者団体と協力し、万博の魅力を発信したり、イベントを考えたりしたいです。(聞き手・箱谷真司)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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