かつて夫と二人三脚でコンビニ経営を行っていたAさんと、夫がオーナーだったコンビニを今年3月に閉店したBさん。ともに二児の母である二人が、コンビニオーナーの壮絶な実態を赤裸々に語った。
Aさんはオープン当初、夫婦でコンビニ経営をしていたが、3年目を境にして売り上げが低迷。売り上げの悪化が引き金となり夫がうつ病を発症し、躁鬱になって暴れるようになった。そんな状況に本部から「オーナー解約」が通知された。本部からは「奥さんが店を続けるというのであれば、続けられるよう配慮します」と代替案を打診されたというが、その条件が驚きだった。
「離婚をしましょう」
オーナーが戻るのは認められないというのがその理由だった。その条件を呑んで夫と離婚し、Aさんはコンビニ経営者になる道を選んだ。当時の状況について「あまりに忙しくてその頃の記憶がほとんどない。自分の判断力がほとんど無かった」と振り返る。
一方、今年3月に夫がオーナーを務めていたコンビニを閉店したBさんの告白も衝撃的なものだった。
「旦那が2月28日に失踪して、7月11日に遺体で発見された。9年間で1日も休みが無かった。4年目から身体が悪くなってしまい、心筋梗塞や心不全を起こし、糖尿病に高血圧も。借金は4000万円ほどになっている。自分たちの店の近くに同じ店をたくさんつくれば、売り上げが半分になる。貯金もなくなって生活できず、ローンも払えなくなり……」
Bさん夫婦はチェーン店が同じ店を近くにオープンさせるドミナント戦略によって売り上げを減らし、夫が失踪後、Bさんは本部から閉店を告げられた。ドミナント戦略においては、本部が利益を得る一方、オーナーにとっては大きな損失になるリスクがある。
■子どものお弁当も、ケーキも、おせちも全部廃棄…
さらに本部とオーナーでは、当然ながら立場も異なる。仮に万引きなどによってオーナーが10万円の損失を出したとしても、本部は商品が発注された時点で利益となるため、何も痛くない。その補填は加盟店オーナーが行う。さらに廃棄商品についてもAさんは「オーナーは売る数と廃棄の数の両方を意識する必要がある。ただ、本部にとってはどっちも利益。廃棄代もオーナー負担。どんなに疲弊しても、本部からは『食べるものはあるでしょ』と言われるだけ」と憤る。これにはBさんも「うちの子どもたちの弁当は、器からお弁当箱に移すだけの廃棄弁当だった。ケーキも廃棄、おせちも廃棄、全部廃棄……」と言葉を詰まらせた。
さらに二人は、コンビニオーナーの子育ての実態についても明かす。
Aさんが「オーナーの子育てはだいたい事務所に段ボール(を敷き、赤ちゃんを寝かせておく)」と話せば、Bさんも「うちの息子も段ボール」と応じる。するとAさんは「今後、私が考えることは段ボール介護。家に帰れない、一人にさせられない。そうなると、コンビニの事務所に段ボール敷いて『お母さんここに居て』となってしまう」と続けた。
「段ボール育児」で育ったというBさんの長男に悲しい出来事が起こった。借金を返すため家族でまわして何とかしようと頑張っていたBさん家族だが『これは無理だ。やっていられない』と言い残した長男は、2014年9月19日に首つり自殺を図った。夫だけでなく、愛する息子も失ってしまったBさん。高校生の頃から、学校終わりに寝る間も惜しんで働いてくれていた優しい長男だった。次男はBさんに対して「俺の人生はお兄ちゃんみたいになくしたくない」と訴えたという。
「本部の人はずっと見ている」と話した二人。しかし本部は、そんな状況に手を差し伸べるわけでもなく「オーナーの才能と能力だ。ちゃんと従業員が続くような環境を作っていないからだ」と言い放った。(AbemaTV/『Abema的ニュースショー』)
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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