香川県善通寺市の保育所で2017年、3歳だった女児がうんていに首を挟まれ死亡した事故をめぐり、両親が運営法人と園長、保育士に計約5500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が28日、高松地裁であった。森実将人裁判長は「遊具の危険性を放置し、組織として過失がある」と述べ、運営法人に約3100万円の支払いを命じた。
判決によると、認可保育所「カナン子育てプラザ21」で17年4月、女児が木製のうんていを上っていたところ、水平のはしご部分(高さ約1メートル)と筋交いの間に首を挟まれた。保育士が約10分後に気づいたが、女児は低酸素脳症で9カ月後に死亡した。
うんていは別の保育所の特注品で、同型のものを製造会社から購入していた。はしごと筋交いの間の角度は約44度。遊具メーカーなどの業界団体が定めた安全基準は、頭が挟まって抜けなくなるとして、55度未満の隙間を認めていない。園側は購入した遊具について、この基準や危険性を認識していなかった。
訴訟で保育所側は「園として適切な賠償額を払う」とする一方、園長と保育士に責任はないと主張。判決も、2人が「事故を予想するのは困難だった」として過失を認めなかった。法人に対しては「角度の問題を放置していた」と述べた。
事故をめぐっては、香川県警が18年2月、園長を業務上過失致死の疑いで書類送検し、高松地検が19年1月に嫌疑不十分で不起訴にした。(木下広大)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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