福岡県筑豊地区の住宅街。夜、とある家の庭先に明かりがともる。照らされる二つの石像は「くまモン」と「ばいきんまん」。ここで姉妹が長年、家族と一緒に暮らしていた。
姉の近藤恵美子さんは生後8カ月で高熱を出し、脳性小児まひに。左腕は不自由だが、右腕や足をゆっくりと動かすことはできる。言葉も理解しているものの、発する声は「あー、あー」としか聞こえない。
妹のまさこさん(54)が、代わりに姉の言いたいことを言葉にする。腹をさすると「おなかが減ったのね」。消し忘れた照明を指すと「電気を消すね」。だが時にもだえるように何かを訴えることも。まさこさんが思いつく言葉を口にすると、姉は首を振ったり、うなずいたり。
「みんなに迷惑かけている」
「そんなことないよ」
時間をかけて、そんな会話を2人で交わしてきた。
まさこさんは高校中退後、県外で就職したが、姉のことが気がかりで1年で戻った。交際していた男性を家族に紹介すると、周りは結婚を勧めてくれた。けれど、悩んだ。
「えみちゃんを置いて家を出…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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