南都七大寺の一つ、大安寺をはじめとした奈良市の6寺社が、お供えの日本酒をアルコール消毒液に変えて高齢者施設などに寄付する活動を始めた。コロナ禍で行事が開けなくなり、信者らの気持ちのこもったお供えを無駄にせずに有効活用する。中心になっているのは30代の僧侶や神職だ。
大安寺は聖徳太子の創建とされる。7世紀には国家仏教の頂点に立つ寺として「大官大寺(だいかんだいじ)」と呼ばれ、九重塔や金堂など大伽藍(がらん)を誇った。奈良時代に光仁天皇が境内の竹で酒を飲み、長生きしたという伝承にちなみ、毎年1月と6月の行事で「笹酒(ささざけ)」をふるまう。笹酒は青竹に入れて温めた酒で、信者からのお供えや寺で用意したものを使う。
しかし、コロナ禍になり、2020年6月から4回続けて笹酒のふるまいは中止に。大安寺で保存する一升瓶は約150本に上った。今年2月ごろ、副住職の河野裕韶(ゆうしょう)さん(34)が「コロナ禍であまったからと悲観的にならず、新型コロナをやっつけるために有効活用できないか。SDGs(持続可能な開発目標)にもつながる」と考えた。
注目したのがアルコール消毒…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル