役所の窓口にロボットを置く自治体が出てきた。外国語を話せるものもあり、庁舎の簡単な案内などに活躍している。将来の人口減や感染症対策も見越して、政府が行政のデジタル化をうたうなか、「お役所ロボット」は救世主になれるだろうか。
猫型の青いぬいぐるみに覆われた画面をタッチすると、高い声が流れてきた。「質問をどうぞ」
「住民票がほしい」と話しかけてみる。「しばらくお待ちください」。続けて「区民課が担当しています。東棟1階の区民課でおたずねください」と答えてくれた。画面には区民課の案内図が表示されている。
東京都杉並区役所で来庁者の案内にあたる対話型ロボット「ロボコット」だ。高さ45センチ。動き回ることはできないが、約1700通りの質問を聞き取って答える。「会議室はどこ?」とあいまいに聞かれれば画面に会議室一覧を表示して、「どちらの会議室ですか」と聞き直す。答えられない問いには「近くの案内の者にお尋ねください」。英語、中国語、韓国語でもやりとりができる。
杉並区は庁舎の総合案内窓口の混雑緩和のために、今年5月から2台を導入した。窓口の利用者は年間15万件。1分に1件対応する計算で、スタッフがファイルをめくって担当部署を調べているうちに列ができることもあったという。
ロボットを活用できないかと考え、昨年11月に実証実験した。自律走行する誘導型も検討したが、庁舎の構造や部署の配置が誘導型には向かないことが分かり、対話型のロボコットを選んだ。実験時のアンケートでも「楽しい」「案内が的確で驚いた」と好評で、コロナ禍の最中だったため、「対面に不安があったのでロボットはいい」という声も聞かれた。
ネット経由で問答を追加
利用者とのやりとりが記録され、欠点の改善や問答の修正、追加もインターネットを介して数分でできるという。本体はレンタルで費用はシステム構築費など年間二百数十万円。緊急事態宣言などで来庁者が少ないなかで、1日平均40件の利用がある。区企画課の担当者は「いまはスタッフを補助する役割ですが、将来労働力不足の時代が来れば、人手を補ってくれるかもしれません」と話す。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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