新型コロナウイルスの感染拡大が結婚式の景色を大きく変えている。緊急事態宣言や、まん延防止等重点措置がとられている地域の一部では、結婚式場に対しても酒類の提供をやめるよう要請しており、ノンアルコールでの開催が相次ぐ。コロナ禍で大きな打撃を受けるウェディング業界は、新しい結婚式の形を模索している。(遠藤隆史)
「乾杯!」
4月29日昼、東京都港区の「八芳園」であった結婚式。新郎(36)の上司がそう呼びかけると、約90人の参列者は手にしたグラスを高く掲げた。
結婚式の定番の風景。違ったのは、グラスの中身が酒類にあたらない「ノンアルコールシャンパン」だったことだ。
式では元々、ビールや日本酒、ワインなどがテーブルに並ぶ予定だった。だが、東京を含む4都府県に25日から緊急事態宣言が発出され、都内の式場に対し、酒類の提供禁止や午後8時までの営業時間短縮などの要請が出た。
ノンアルカクテル 2人のイメージカラーを色づけ
夫婦は式場側の提案を受け、急きょ全てのドリンクをノンアルコールに切り替えた。
2人が結婚式の日取りを決めたのは昨夏。「2021年の春には感染は落ち着くはず」と、予想していた。新婦(31)は「料理との相性も考えてお酒を決めたのに。ノンアルコールでも料理に合うようにできないかを考えた」。
予想外の事態に、式場側は最大限のサービスを提供した。2人のイメージカラーをシロップで色づけした特製のノンアルコールカクテルを用意したほか、ノンアルコール日本酒飲料なども取り寄せた。
参列客からは「お酒が苦手でも色々なドリンクを楽しめる」と好評だった。新郎は「コロナ禍だからこそできた結婚式。唯一無二の忘れられない式になった」と話した。
八芳園によると、大型連休が始まった4月29日から緊急事態宣言の期限である5月11日まで、約100組の結婚式の予約が入っている。宣言を受け、1割ほどが式を延期したが、ほかは感染対策を徹底した上で「ノンアルコール」方式で開く見通しという。
同社では、ノンアルコール飲料の種類を充実させた新プランを用意。酒屋に大量発注したり、足りない分はスーパーで買い足したりして、商品の確保に奔走しているという。
同社の担当者は「お酒を提供できないのは本当に残念だが、都の要請にはできる限り従う。新郎新婦や参列者が満足できるよう努力したい」と話した。
20万組以上のカップルが式を延期か
ウェディング業界が結婚式の…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル