平岡春人
かんぽ生命で不正販売が多数発覚した問題で、不正販売を理由に解雇されたのは不当だとして、北海道内の元郵便局員の2人が日本郵便を相手取り、社員の地位確認と解雇後の賃金の支払いを求めた訴訟の判決が14日、札幌地裁であった。谷口哲也裁判長は「懲戒解雇の合理的な理由がない」として、原告の主張を全面的に認めた。同様の司法判断は2例目。
判決などによると、道内で10年以上勤務する原告2人は2020年8~9月、顧客の意向を十分に把握せずに、既存の保険契約を解約して同種の新規契約を結ぶ「乗り換え契約」など数十件を受け付けたとして、懲戒解雇された。
判決は、2人が日本郵便が定める手続きに沿って顧客に意向確認しており、顧客も乗り換え契約によって「解約損」が生じると理解したうえで契約したと指摘。2人に違反行為はなく、解雇は無効と結論づけた。解雇後の賃金と賞与計約2300万円の支払いも命じた。
原告代理人の浅野高宏弁護士は判決後の会見で、「日本郵便は、社会的な批判をかわすために義務違反をしていない職員に極めて重い処分を下した。判決を真摯(しんし)に受け止めて、改善の態度を示すべきだ」と求めた。
一連の不正販売をめぐっては昨年12月、札幌地裁で元局員の解雇を無効とする判決が言い渡されている。(平岡春人)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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