がれきの下で見つかった母へ 28年後の新しい神戸、見えますか

 寒い朝、新聞配達に出かけた母はがれきの下で見つかった。「新しい神戸をつくる仲間になりたい」。そう誓った高校生は、もうすぐ母と同じ年齢になる。

 白石大樹(たいき)さん(45)の母、桂子さんはテレサ・テン美空ひばりの曲を歌うのが好きだった。朝は5時すぎから新聞配達、昼と夜は真珠を選別する内職。父は物静かで、「カカア天下」の家だった。

 1995年1月17日の阪神・淡路大震災。その朝も、玄関の方から「ガチャガチャ」と母が出かける音が聞こえた。「ああ、行きよるな」。寝床でそう思ってしばらくすると、「ゴー」という地響きが聞こえた。寝ていた弟のほうへ仏壇が吹っ飛び、家中のあらゆる物が倒れた。

 神戸市灘区の自宅マンションに一緒にいた父と兄弟は無事だった。近くに住む祖母を助け出し、知り合いのおばちゃんの救助に向かった。母の行方がわからなくなっているとは、そのとき思わなかった。

前夜のたわいもない話

 昼すぎ、配達ルートの道路沿…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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