横浜市立大附属病院(金沢区、臨床試験専用20床を含めて674床)は5日、泌尿器科の40歳代の医師が膀胱がんの予後に関する臨床研究の調査過程で、研究倫理委員会で承認された研究計画書を順守せず、患者の個人情報を漏えいさせたと発表した。20病院分の3411件(氏名や診療内容など)のエクセルファイルを誤って宛先不明のアドレス2件に送信したという。同病院は調査チームを常設し、各診療科の患者情報の管理体制に関する立ち入り調査を実施する。【新井哉】
同病院によると、医師は7月24日、臨床研究に関係する医師22人に対し、患者情報の入ったエクセルファイルを添付したメールを送信したが、送信できないアドレスが多かったため、学内のメール環境に問題があると思い、個人のメールアドレス(Hotmail)から再度送信した。
翌25日に他の医師に電話で確認したところ、アドレスが間違っていたことが判明。アドレスをコピーした際に操作を誤っていた。宛先不明のアドレス2件にメールの削除と返信を依頼したが返信がないという。
患者情報が匿名化されていなかった理由について、同病院は「医師が患者データの集計の際に、匿名化された情報では照合作業が煩雑になるため、次第に匿名化せずにやり取りをするようになった」などと説明。個別の病院と必要な情報のみをやり取りすべきだったが、他の病院の患者情報を含めて一斉に送信し、メールアドレスの確認やパスワードロックも怠ったという。
同病院のホームページに掲載されている「個人情報保護に関する基本方針」では、個人情報の取り扱いに「細心の注意」を払うことに加え、正確かつ安全に取り扱い保護することを「社会的責務」と考えて安全対策などに取り組み、個人情報への不正アクセスや紛失、破壊、改ざん、漏えいを防止するとしていたが、今回の漏えいを防げなかった。
今後の取り組みについて、同病院は、患者情報の適正管理を継続して徹底していくため、病院長直属の調査チームを常設することに加え、第三者を含む調査委員会を設置し、各診療科の問題点の把握と再発防止策の検討・提言を行う。
CBnews
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