同じ量のエサを食べてもたっぷりと肉が付く。そんな魚が食卓に並ぶ日が近く訪れるかもしれない。京都大発のバイオ企業が、ゲノム編集技術でできたマダイの販売に向けて国に届け出た。効率よい食料生産につながる可能性を秘める一方、遺伝子操作した動物が食品として市場に出た例は世界的にも少ない。消費者の受け止めが注目される。
従来、数十年以上の長い時間がかかっていた魚の育種(品種改良)を2~3年に短縮できる技術が登場した。ねらった遺伝子を壊したり、新たに加えたりする「ゲノム編集技術」だ。とくに2012年に発表され、20年のノーベル化学賞を受賞した技術、「CRISPR(クリスパー)/Cas(キャス)9」は手法が簡単で、あらゆる生物に応用できる。世界中で魚の育種の試みが広がった。
ゲノム編集技術で、早く成長する、寄生虫に対して強くする、攻撃性を弱めて共食いを防ぐといった性質をもたせれば、生産性を高められる。養殖業は、たんぱく質の重要な供給源として期待されており、世界の食糧不足の解決策の一つになるかもしれない。
魚の色を変える、健康によいとされる成分を増やすなど、付加価値を付けることも可能だ。気候変動で水温が変わっても耐える魚やたとえ逃げだしても環境に影響を与えないように不妊化した魚など、さまざまな研究が進んでいる。
一方、大きな課題の一つに…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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