動物の生き生きとした表情を引き出す行動展示の先駆けとなった旭山動物園(北海道旭川市)が今春、一般(高校生以上)の入園料を820円から1千円に値上げし、国内の公立動物園では最も高い水準になった。公立動物園は住民サービスの役割も担う。その値上げに踏み切った旭山動物園の決断は、日本の動物園の経営のあり方に一石を投じることになりそうだ。
旭山動物園は、旭川市が運営する公立動物園。2018年度の入園者数は約137万人。人口33万人ほどの旭川市にありながら、上野動物園(東京都)や東山動植物園(名古屋市)、天王寺動物園(大阪市)など大都市の動物園に次いで4番目の多さで、そのほとんどが国内外からの観光客だ。
園長「1千円の価値ある動物園に」
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昨年度の旭山動物園は、ユキヒョウにカバ、アムールトラと出産ラッシュに沸いた。旭山動物園によると、入園料の値上げはエサ代の高騰や、人件費が高止まりしていることなどが主な理由という。
もともとの入園料820円も、国内の公立動物園では高めの金額だった。入園料1千円は、日本動物園水族館協会加盟の公立動物園71園(6月1日現在)の中で、淡路ファームパークイングランドの丘(兵庫県)と並んで最高額で、「民間の動物園並みの金額」(同協会)という。
値上げをすれば、観光客の足が遠のくことも心配される。だが、坂東元(げん)園長(59)「1千円いただくだけの価値がある動物園にすればいい」と強気だ。
欧米と日本の動物園の経営などに詳しい帝京科学大学の佐渡友陽一講師(動物園学)は旭山動物園の値上げを「(日本の動物園の中で)先鞭(せんべん)をつけてくれた」と高く評価する。佐渡友講師によると、欧米の動物園の入園料は1500円~2千円台が多く、日本の公立動物園の入園料は「国際標準からすると、異常なまでに安い」という。
革新都政と上野動物園が影響
なぜ安いのか。その理由は、日本の動物園の歴史にあるという。
日本の地方都市では、戦後の高…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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