つるべ落としと聞いて「え、妖怪?!」と思ったのは私だけでしょうか…。
今回ご紹介するのはもちろん妖怪ではありません。
「秋の日はつるべ落とし」とは、他の季節に比べて秋は急速に日が暮れるということを表すことわざです。なぜそのように言われるようになったのか、3つの観点から検証していきます。
1、日没時刻の変化
当然のことながら、日没時刻というのは、春から夏に向かって遅くなり、夏から秋に向かって早くなっていきます。
2015年の記録を見ると、一番遅い日没時刻は6月で19時。一番早い日没時刻は11月で16時30分。ここには2時間半の差があります。
また、春(3~5月)から夏(6~8月)への変化より、夏から秋(9~11月)への変化の方が大きいことがわかります。
2、日中時間の変化
日の出から日の入までの時間を仮に日中時間とし、こちらの時間も比較してみました。
1月~5月は約1時間ずつ増えています。6月の夏至を越え、7月~11月はまた約1時間ずつ減っていきます。
先程の日没時間に比べ、春~夏と夏~秋に大きな差はありませんでした。
あくまで推測ですが、明るい時間が増えていくのと減っていくのでは、減っていくほうがより変化を感じやすいのかもしれません。
3、薄明継続時間の変化
【薄明の種類と定義】
薄明とは、上空の大気が太陽光を散乱して光り、日の入後もしばらくは暗くならない現象のことをいいます。薄明には種類があり、次のように明るさが徐々に変化していきます。
<薄明の種類>
常用薄明:外での活動に支障のない明るさ(伏角:日の入り~6度)
航海薄明:水平線が識別でき、多くの星が見えるようになる明るさ(伏角:6度~12度)
天文薄明:ほとんど暗くなり、肉眼で6等星まで見える明るさ(伏角:12度~18度)
※伏角(ふかく)とは、水平線と水平線下の太陽の中心とのなす角
【実際の結果】
薄明継続時間も6月が一番長くなっており、日が沈んでから約2時間かけて、ゆっくりと暗くなっていきます。しかし9月・10月は、日没後わずか1時間25分で夜を迎えます。この約20分~30分の差が急に暗くなったという感覚を助長させるのかもしれません。
まとめ
日没時刻、日中時間、薄明継続時間の3つの観点から検証してきましたが、「秋の日はつるべ落とし」と言われるようになった理由には、以下のことが関係していると考えられます。
・夏に比べて秋は薄明継続が短くなるため、急に暗くなったと感じさせた。
・秋は日中時間が減ったことに加え、日没時刻自体も早まり、早く暗くなったと感じさせた。
・春と秋は条件的によく似ているが、夏→秋→冬→春という季節の並びが、より顕著に感じさせた。
実際、季節ごとに様々なものは変化していますが、「秋の日はつるべ落とし」は感覚的な部分が大きいようです。このことをふまえて、秋の空の変化を楽しんでみてはいかがでしょうか。
ウェザーニュース
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