広島と呉を舞台に、戦時下に生きる人々の暮らしを描いたアニメ映画「この世界の片隅に」が8日、2016年11月の劇場公開から連続上映1千日を迎えた。
片渕監督、8月6日に広島入り
「私は、映画の中に出てくる様々なものが存在していたことを知っていますから、今日ここでこんな風に立っている、映画と一緒にここにいることは、自分にとってすごく意義深い」
被爆74年の原爆の日となった6日。広島市中区の映画館「八丁座」での英語字幕版「この世界の片隅に」上映後、ステージに立った片渕須直監督は観客に語りかけた。
八丁座は、主人公「すず」がスケッチをしていた福屋百貨店の建物の中にある。原爆を生き抜いた「被爆建物」の一つ。片渕さんは言った。「映画の中のことが、今皆さんがいる広島と直接つながっている」「時間があったら、平和記念公園に行ってみて下さい。一番最初のシーンですずが迷子になっていた場所に立つことができます」
映画の原作は、広島出身のこうの史代さんの同名漫画。原作にほれこんだ片渕監督は、たった独りで制作準備にとりかかった。6年がかりで写真など数千点の資料を集め、何度も広島に通いながら、平和記念公園となっている場所にかつて存在した「中島本町」の住民たちの証言を集めた。
人々の暮らしや戦争、そして原爆が、幻やフィクションではなく、確かな現実だったと感じてもらうためだった。
街灯の形や、看板の色など、絵を当時の住人たちに見せては間違いがないかをチェック。住民からも評価が高かった。クラウドファンディングによる制作資金が後押しとなり、2016年11月、劇場での公開が始まった。
エンドロールには、「浜井理髪館」の末息子で、原爆孤児となった浜井徳三さん(85)や、「高橋写真館」で同じく一人残された高橋久さん(90)ら、少年・少女時代に旧中島本町で過ごした元住民たちの名前も流れる。
■亡くなった元…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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