ラッパに鳥のあし、寺社の鰐口(わにぐち)――。奄美大島の森で、そんな姿に例えられるユニークな形の希少種や固有種の花が咲き、亜熱帯の島に近づく春を感じさせている。
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林床で咲いているのが同島と徳之島の固有種アマミテンナンショウ。高さ20~50センチの多年草で、「仏炎苞(ぶつえんほう)」と呼ばれる筒状の緑の花と鳥のあしのような葉が特徴だ。盗掘や森林伐採で数が減り、環境省レッドリストの「絶滅危惧ⅠB類」。中国に自生する仲間は、古くから薬用植物として利用されているという。
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ラッパやサックスに似た独特の形の花をつけたのはリュウキュウウマノスズクサ。林縁に生えるツル性植物で、奄美大島以南の琉球列島の固有種とされる。果実が馬につける鈴に似ているのが名前の由来という。「この花を見たら、春はもうすぐ」と話す自然ガイドもいる。
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奄美市の朝仁海岸では、マメ科のワニグチモダマが淡い黄緑の花を咲かせている。十数年前、同海岸で初めて確認され、自生の北限とされる。和名は、寺社の軒下などにつるされた音響具「鰐口」に種子が似ているからといわれる。準絶滅危惧種だが、巻き付いたアダンとともにつるが刈られたこともあり、町内会などが保護を呼びかけている。(外尾誠)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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