聞き手・武田啓亮
公立学校で、必要な教員数を確保できず、欠員が生じる「教員不足」が相次いでいる。昨年度より状況が悪化した地域も多く、一部の授業が自習になったり、学級担任がころころ代わったりする学校も。教員不足の現状に詳しい教育研究家の妹尾昌俊さんは、「子どもたちの学びにも深刻な影響が出かねない」と指摘する。背景や解決策について聞いた。
――いま現場で起きていることとは。
小学校で新学期から担任が確保できずに代わりを教頭が務める例や、中学校で教科担任が足りず、専門外の教諭に人手が足りない教科を担当させる例もあります。自習になってしまうケースも相次いでいます。
学級担任が子どもの学校生活を見守る、専門的な知識を持った教科担任による授業が受けられるという仕組みは、義務教育の理念に基づいて全国一律で保障されるはずですが、現状はそうなっていません。予想したよりも深刻な影響が子どもたちに広がっています。
妹尾さんは文部科学相の諮問機関、中央教育審議会の「働き方改革特別部会」元委員で、文科省学校業務改善アドバイザーを務めます。記事の後半では、教員不足の影響や、背景にある長時間労働の改善策について聞いています。
――どのような影響でしょうか。
小学校低学年や特別支援学級などでは特にそうですが、学級担任がクラス運営に与える影響は大きいです。教員不足で担任を確保できなかった学級を、校内の教員たちが臨時の担任として頻繁に交代しながら受け持つ事例もあり、その場合、学級運営の方法や、担任を中心とする人間関係も微妙に変わり、子どもがその変化についていけなくなる可能性があります。
そもそも、環境の変化による…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル