5月10日の母の日を前に、昨年9月の台風15号の被災地、千葉県鋸南町でカーネーションの出荷がピークを迎えている。台風後に復旧できず栽培を諦めた農家もある中、新型コロナウイルス感染拡大による需要減のダブルショックに苦しんでいる。JA安房によると、出荷量は半減。加えて緊急事態宣言による出控えや花店の休業などの影響で供給がだぶつき、値が上がらないという。
鈴木直人さん(35)の温室では、台風で天井や壁のガラスが吹き飛ぶなど被害を受け、約2割の花がダメになった。「雪みたいに降り積もったガラスを片付けて、代わりにビニールを張って、ようやくこれから、というところでコロナが来た」と鈴木さんは話す。
イベントが多く花の需要が高まるはずの4月、緊急事態宣言が出た。売り上げは昨年に比べ7割減った。温室の修復費用がかさみ、先行きに不安は募る。それでも仕事中は心が和むという。「花の力かな。今は皆、ストレスを感じることが多いと思うけど、こんな時こそ花を飾ってほしいし、お母さんに感謝の気持ちを伝えてもらえれば」
花の生産や流通などの業界団体からなる「日本花き振興協議会」では、母の日に配送業者の負担が集中したり、店頭で「密」が起きたりするのを避けるため、5月を丸ごと「母の月」にしよう、と呼びかけている。(川村直子)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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