こんな秋なんかないほうがいいんだ――。だるまちゃんシリーズなどで親しまれ、3年前に92歳で亡くなった絵本作家かこさとしさんが、自身の戦争体験をもとに描いた未発表の紙芝居が、このほど見つかった。家族によると、かこさんが戦争を直接題材にした作品は、これまで確認されていないという。見つかった作品は、絵本「秋」として、29日に講談社から出版される。
1944年、秋…
ヒガンバナの行列に、風の中の赤トンボ。うろこ雲が遠くまで続き、野原にはノギクが咲き乱れる。絵本「秋」は美しい秋の情景から始まり、その後、18歳だったかこさんが体験した、1944年秋の出来事へと続いていく。
空襲が相次ぎ、食べるものにも事欠く日々。そんなさなか、盲腸炎になった「私」の手術を担当してくれた医師の先生に召集令状が届いたこと。くっきりと晴れた秋の空に、墜落する戦闘機と、落下傘が開かずそのまま落ちていった飛行士の姿を見たこと。そして、召集された先生が戦死したという知らせ。
一番好きな季節の秋なのに「青い空や澄んだ秋晴れは、戦争のためにあるんじゃないんだ」「空襲や戦争のために、青く澄んでいるなら、こんな秋なんかないほうがいいんだ」と、強い憤りがつづられている。
作品は去年の春、かこさんの長女の鈴木万里さん(64)が自宅を整理していて見つけた。
原画の表紙には、水色、ピン…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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