“走る広告塔”として地域の魅力をPRする「地方版図柄入りナンバープレート」が導入され、10月で1年になる。8月末までに全国41地域で申し込みがあったのは計10万2054件。堂々の1番人気に輝いたナンバープレートの顔は、全国屈指の知名度を誇るあのゆるキャラだった。(前原彩希)
【図でみる】申込数の多い上位3地域と近畿地区の地方版図柄入りナンバープレート
地方版図柄入りナンバープレートは昨年10月、国土交通省が導入。地元の名産品や景勝地などが描かれ、申請が認められた全国30都府県の計41地域で交付されている。
全国自動車標板協議会「図柄ナンバー申込サービス」のウェブサイトのほか、自動車ディーラー、整備工場で申し込みを受け付けている。一般のナンバープレートと同様、住所地の地域に申し込み、費用は自治体や車両の種別によって異なる。事業用軽自動車と二輪車は対象外で、千円以上の寄付をすればフルカラーになる。
国交省によると、受け付けが始まった昨年9月10日から今年8月末までの期間で、全国最多の申し込みがあったのは1万2507件の熊本ナンバー。県のPRキャラクター「くまモン」をあしらったかわいらしいデザインだ。昨年、イラスト商品の売上高が初めて1500億円を突破したくまモン。郷土が誇るゆるキャラが、県民から絶大な支持を集めた格好だ。
これに次ぐ1万347件を集め、2位に入ったのが福山(広島県)。プロ野球広島の球団マスコット「カープ坊や」が描かれており、こちらはカープファン垂涎(すいぜん)のナンバープレートといえそうだ。
近畿勢は今回交付した奈良、滋賀、京都の3地域がそろってベスト10入り。桜と紅葉、地域のシンボルであるシカをあしらった奈良が5位に入り、「琵琶湖に浮かぶ島」をイメージした滋賀が8位、天橋立や五重塔を描いた京都が10位に食い込んだ。
図柄は、立山連峰(富山)や秋吉台(山口)、桜島(鹿児島)など地域を連想させる風景のほか、さくらんぼ(山形)や梨(鳥取)、オリーブ(香川)といった特産品も多い。くまモンを筆頭に「みきゃん」(愛媛)、「道風くん」(愛知・春日井)などのゆるキャラも人気だ。
また、静岡県と山梨県からはそれぞれ「富士山ナンバー」が交付されている。麓に花をあしらい、茶畑が広がる風景を描いた静岡版は6位(4429件)、朝焼けに染まる「赤富士」をモチーフにした山梨版は20位(1494件)となり、“ライバル対決”は静岡版に軍配が上がった。
熊本県交通政策課の担当者は「地元の方が地域のキャラクターを愛し、誇りを持ってくれているのはうれしい。くまモンは熊本県のPRに大きく貢献してくれている。本当にありがたい」と喜ぶ。
来年度には第2弾として知床(北海道)や伊勢志摩(三重県)、飛鳥(奈良県)など17地域で交付が始まる見通しだが、早くも人気の兆しを見せているのが飛鳥ナンバーだ。国宝・キトラ古墳壁画にも描かれた「朱雀(すざく)」がダイナミックに飛翔する図柄が目を引く。橿原市や明日香村など奈良県内の5市町村でつくる飛鳥ナンバー協議会(事務局・橿原市企画政策課)には「いつから付けられますか」「住んでいなくても付けられますか」といった問い合わせが相次いでいるという。
同協議会の担当者は「飛鳥ナンバーを付けた車を見て、多くの人に『行ってみようかな』と思ってもらえたら。飛鳥地域の観光振興につながってほしい」と期待を寄せている。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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