アサリなどを食べて漁業に悪影響を与えることから、漁業関係者の間で「害貝」として知られる「ツメタガイ」。愛知県美浜町では、この「海の厄介者」を特産品にしようと、様々な商品開発をしてきた。商品は好評で、徐々に全国にも広まっている。
美浜町の老舗店「つくだ煮街道」ではツメタガイの総菜が売られている。オリーブオイルにつけ込んだ「オリーブ」、生姜(しょうが)などで味つけした「旨煮(うまに)」の2種類がある。レシピは社長の浜本けい子さん(68)が考え、手作業で製造される。醬油(しょうゆ)味ののりのつくだ煮と混ぜて食べるのもオススメだ。コリコリした食感で、すべて「ご飯に合う」と人気だ。
ツメタガイは水深数十センチの浅海に生息し、全国の海岸にいる。アサリなどの貝殻に穴を開けて中身を食べる被害が、各地で確認されている。
愛知県はアサリの漁獲量日本一を誇る。2021年は2364トンで全体の約48%を占めたが、その分、ツメタガイの被害も深刻だ。特に美浜町ではアサリが食べ尽くされ、町の観光資源の「潮干狩り」に影響が出るなど対策が課題だった。
こうした状況を打開するため、町は16年にツメタガイの商品化プロジェクトを始めた。全国的に食用で扱われることはほぼないが、町職員は三重県などで食べられていることに着目。砂抜きなどの処理が大変だが、コリコリとしてアワビに近い食感に「食用商品」の勝算を感じた。
地元漁協などと連携してレシピづくりなどに着手。地元では「うんね」と呼ばれていたため、「海音貝(うんね)」の名称を商標登録した。呼び方を変え、悪いイメージからの脱却をはかった。
「つくだ煮街道」がつくる総菜以外にも貝飯などが販売され、年間1トン以上が消費される。ふるさと納税の返礼品としても人気となり、ツメタガイの料理を出す町内の旅館や飲食店も10店舗以上に広がった。
県外からの注文やリピーターも↑
ツメタガイの被害に悩むとこ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル