中井なつみ
コンサートホールやボウリング場、ホテルなどが集まった複合施設「中野サンプラザ」(東京都中野区)が2日、閉館した。地元のランドマークとして50年にわたって親しまれてきた。別れを惜しみ、多くの人が駆けつけた。
「仕事で疲れているときも、この建物を見ると『帰ってきた』という思いになれた」
高校卒業後に上京してから中野駅近くに住んでいるという男性(45)は、長女(8)とともに記念撮影に訪れ、感慨にふけっていた。「目の前にあるのが当たり前だったので、実感がわかない」
1973年の開館以来、コンサートホールでは、国内外のアーティストが公演を開き、「音楽の聖地」とも呼ばれてきた。5月からは、集大成のイベントとして「さよなら中野サンプラザ音楽祭」を開催。五木ひろしさんや奥田民生さん、「モーニング娘。’23」など、ゆかりのあるアーティストが連日出演した。
最終日のこの日、ステージに立ったのは、数多くの公演を開いてきた山下達郎さん。開場前から大勢のファンが訪れた。
千葉県から来たという50代の夫婦は「ホールが大きすぎず、山下さんの歌声との一体感が味わえるのがとても良かった。最後となるのは寂しい」と話した。
中野サンプラザは、取り壊されることが決まっている。その跡地を含むJR中野駅北口一帯の再開発が予定され、28年度に新たな施設が完成する予定だ。(中井なつみ)
〈中野サンプラザ〉 1973年、旧労働省の要請で特殊法人の雇用促進事業団が建設。「全国勤労青少年会館」としてオープンし、愛称が「SUNPLAZA」に。2004年に「株式会社中野サンプラザ」として民営化された。老朽化などのため取り壊しが決まり、中野サンプラザを含むJR中野駅北口一帯が再開発される。跡地には、新しい複合施設が28年度にオープンする予定。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル