前田智
大阪府富田林市など4市町村を走っていた金剛自動車(富田林市)の路線バスが20日で最後となった。21日からは、4市町村の地域公共交通活性化協議会による「4市町村コミバス」や、自治体が運行するバスが走り始める。
近鉄長野線富田林駅前ではこの日、金剛自動車の緑色のバスが発着していた。バスに向かい、盛んにシャッターを切る人の姿も見られた。
富田林市の女性(78)は、40~50年前に通勤で金剛自動車の路線バスを使っていて、最終日ということで乗りに来た。当時は満員だったといい、「寂しい。次はどんな色のバスになるのか。いろいろなことを思い出し、涙が出てくる」。
バス停には21日以降の時刻表が貼られていた。河内線のバスを週2回使うという女性(86)は運転免許がなく、「バスがなくなるかと心配だったが、残ると聞いて安心した。時刻表ももらったので、これからも利用する」と話した。92歳の母親の通院にバスを使うという男性(63)は車を持っておらず、「バスが残ることになり安心」と語った。
金剛自動車の路線バスは富田林駅、喜志駅などと富田林市、太子町、河南町、千早赤阪村内を結ぶ計15路線(うち1路線は運休中)があった。路線廃止を受け、4市町村の協議会が近鉄バス、南海バスに協力を依頼。協議会や自治体が運営主体となり、後継のバスを運行することになった。
協議会の担当者によると、そもそものバス運転士不足に加え、ドライバーの残業規制が強まる「2024年問題」も考えながら検討。15路線のうち10路線を存続させることになった。便数はこれまでの6~7割程度になるという。
21日以降の定期券の購入は、富田林駅前にある「観光交流施設きらめきファクトリー」で。近鉄バス、南海バスの車両では交通系ICカードが使えるという。
4市町村の負担は今年度だけで約1億5千万円。このため、運賃について利用状況などを見ながら、来年度以降に見直しも検討する。(前田智)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル