東京都内最大級で、現存する最も古い団地の一つだった石神井公園団地(練馬区上石神井)が解体され、半世紀の歴史に幕を下ろした。住民の多くは思い出の詰まった巨大団地との別れを惜しみつつ、建て替えでできるマンションで新たな人生を踏み出す。
7月12日、更地となった団地跡地にかつての住民たちが集まった。建て替え工事の安全を祈願する地鎮祭を見守るためだ。
約40年を団地で過ごした女性(76)は、何もなくなった跡地を感慨深そうに眺めた。「子育ての思い出がたっぷり詰まった場所。夫が亡くなり一人暮らしとなったが、またこの場所に戻りたいと思った」と話し、新たにできるマンションに入居予定という。
石神井公園団地は1967年に建てられ、5階建ての9棟に490戸がひしめいていた。団地の管理組合の理事長だった岡崎登さん(86)は、団地ができた年の分譲の募集に応募。運良く抽選で入居が決まった。「当選した時は本当にうれしかった。住民同士が仲が良いのが印象的だった」
給水塔の周りで開く夏祭りは30年以上続く団地の風物詩となった。住民手作りの縁日に、子どもみこし、練習を重ねたフラダンスなどを披露した。絵画やダンスのサークル活動も盛ん。春には桜並木のトンネルをみなで散策した。子どもたちの遊ぶ声が響き、にぎやかな日々だった。
だが、建物の老朽化と住民の…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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