つかの間ながらも、被災地の商店街ににぎわいが戻った。石川県七尾市の一本杉通り商店街で11日に開催された「一本杉復興マルシェ」。訪れた人からは「復興に向けてがんばる」「励みになった」との声が聞かれた。
すしや喫茶、呉服、和菓子、漆器など地元の11店が参加。午前11時の開始時には各店に行列ができた。「大丈夫だった?」「元気でよかった」と店主の無事を確認し、涙を流して喜ぶ人もいた。
寺野友子さん(68)は「お店の人とのふれあいが楽しかった」と笑顔を見せた。手には、いっぱいになった買い物袋。少し前に避難所から七尾市内の自宅に戻ったという。「家にいると悪いことばかり考えてしまうけど、元気をもらえた。がんばるしかないね」
東日本大震災の被災地の一つで、今回のマルシェとつながりがある宮城県南三陸町のかまぼこを買った竹田加奈子さん(40)は、自宅が傾き、七尾市内の両親宅に身を寄せている。「同じ被災地からのエールのように感じて、励みになりました」と話した。
「地震以来、初めて『いらっしゃいませ』と『ありがとうございます』が言えました」。出店した漆陶舗「あらき」の若女将の新城(あらき)礼子さん(62)は目を潤ませた。輪島塗や九谷焼を扱う老舗だが、多くの商品が地震で壊れた。営業再開の見通しは立っていない。「廃業を考えましたが、商品を手に取るお客さんを見て、伝統工芸を守らなければならないと改めて感じました」と話した。
マルシェを企画した商店街の振興会会長の高沢久さん(51)は「多くのお客さんに喜んでもらえてうれしい。それに尽きます」と話した。毎月1回開催していき、奥能登の商店街にも出店を呼びかけたいという。(田中祐也)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル