サッカー・ワールドカップ(W杯)カタール大会が閉幕した。なぜ、W杯は人々の心を震わせたのか。
「ずっと、どこか寂しかった。知らない人とも盛り上がりたかった」
11月27日、日本―コスタリカ戦。東京都に住む男子大学生(20)は、満席の居酒屋で、テレビ観戦した。
都内の大学に入学したのは昨春。新型コロナウイルスの影響で今も、大学に授業で通うのは週2日のみ。大学の友人との飲み会は少人数で、これまでたったの1回。趣味であるサッカー観戦も、スタジアムでは声援やハイタッチ、肩を組んでの応援が禁止された。
抑制の続く日々。W杯の勝利に沸く街で終電まで騒ぎたい。そう考え、高校の同級生4人とともに渋谷へ。居酒屋では、トイレですれ違った初対面の人とサッカー談議に花が咲く。普段の自分は見知らぬ人と気軽に話すなんてことはないのに。「日本代表の勝利」という同じ目標に向かって一緒に応援した。その盛り上がりは、ハロウィーンやお祭りとは別物だった。「一体感や盛り上がりを求めていた。仲間と騒いだり、大勢の人と一緒に盛り上がったりしたかったんだと改めて気がついた」
「悔しい思いをした時には森保監督のあの姿勢を思い出そう」
W杯で印象的なシーンがあった。
ベスト8を目前にクロアチア…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル