そこは温かく息苦しい場所? 「明るい家庭」どこにある



 離れて暮らす親きょうだいや親戚と食卓を囲む機会も多かった年末年始。感じたのは家族のぬくもり、故郷の安らぎ、それとも息苦しさ? 広島市現代美術館の企画展で、2020年の「アカルイ カテイ」を考えてみませんか。

 「家族」「家庭」という概念は明治時代、それまでの「イエ制度」に代わって定着したとされる。1947年施行の憲法には、GHQ草案を元に「家族関係における個人の尊厳と両性の平等」をうたう24条が盛り込まれる。

 作品制作と家事育児との両立に悩む女性作家たちとの会話を通じて、自身の中にある「良妻賢母的思想」に気付いたという川村麻純(ますみ)(1975年生まれ)は、ビデオインスタレーション「Family Living」で、47年から現在までの家庭科教科書から「理想の家庭像」に関する文章を抜き出した。映像の最初と最後、47年版と現行民法施行を経た49年版を比べると、わずか2年の間に「ちょっと後退した」日本の家庭観が透けてみえる。

 女性画家が冷遇される戦後の画壇で活躍した桂ゆき(1913~91)の「積んだり」は、封建的だった自分の父親を連想させる文房具や籐(とう)いすなどで今にも押しつぶされそうな家を描く。14年後の「作品」では打って変わって大胆な筆致で真っ赤な笑顔のキャラクターを表現している。「桂が、家をバーンとはねのけて、おおらかに自立していく様が見える」と竹口浩司・学芸担当課長は話す。

 良妻賢母像を背負った「奥さん…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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