三方を山に囲まれ、天然の良港として栄えてきた長崎市は、市街地の7割を斜面地が占める坂のまちだ。宅地向きの土地は少なく、日々の上り下りはきつい。それでも、名前のついた坂を歩くと、ハッとするような景色に出会い、まちの歴史も見えてくる。長崎の坂を知り尽くす「達人」に案内してもらった。
同市の若杉徹さん(74)は、長崎の歴史を広く伝える活動をする市民団体「長崎楽会」のメンバーだ。2年ほど前から市内の坂を歩いて名前の由来や背景となった歴史をまとめている。
彼とともに洋館が点在する長崎市南山手町の旧外国人居留地を訪れた。世界遺産のグラバー園から南に進むと、海側へと延びる坂にぶつかり視界が開けた。「低いところに海、背中はすぐ山。眺めがいいでしょう」と若杉さん。
その坂の名は「ドンドン坂」。長さ100メートルほど石畳が続く。両端の排水溝はかなりの「年季」だ。
「これが、まさに歴史の坂なんです」
排水溝は旧居留地があった当…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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