競争率が過去最低となった令和元年度の小学校教員採用試験。教員の志望動向は景気によっても左右されるが、今回とくに目立ったのは、一部の自治体によるその場しのぎの採用だ。文科省では、退職者数などに応じて1年ごとに採用者数を増減させるのではなく、「中長期的な視点で採用方針を立ててほしい」と求めている。
文科省などによると、景気が好調な年は大学新卒者が民間企業に流れる傾向が強い。小学校教員の競争率が今回と同じ2・8倍だった平成3年度はバブル期。逆に過去最高の12・5倍を記録した12年度はリーマンショック後の「就職超氷河期」だった。
ただ、景気とは別に自治体によって競争率のばらつきが大きいのも事実。文科省の分析では、今回6・1倍で自治体トップだった兵庫県は、過去10年間の採用者数が毎年300~500人台でほぼ変わらないが、1・2倍で最も低かった新潟県は過去3年で採用者数が倍増。1・3倍の福岡県も10年前に比べ5倍以上に増やすなど増減が激しく、計画性の有無が競争率の変動に結びつく傾向が顕著にみられた。
ここ数年、第2次ベビーブームなどで大量採用された教員が定年退職する時期が続いており、採用者数を増やさなければならない事情もある。
新潟県教育庁の担当者は「1・2倍の低い競争率を重く受け止めている。優秀な人材を確保するため、志願者数を増やすことが重要な課題」。福岡県教育庁の担当者は「初任者研修を手厚くし、教員の質を維持したい」と話している。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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