岐阜県瑞浪市出身で、重要無形文化財保持者(人間国宝)の陶芸家、加藤孝造さん(86)が手がけた二つの陶壁が移設され、新しいビルの一角を飾ることになった。ビルの建て替えなどに伴い、壊されることも多い陶壁だが、芸術的価値が高いとして後世に残される。
同県多治見市の東濃信用金庫本店。8階建てのビルの1階に、1986年に制作した陶壁「みのり」がある。長石を釉薬(ゆうやく)に使った美濃焼の一種「志野」で作られた縦2・1メートル、横4・8メートルの巨大な作品だ。トルコ・アナトリア高原で、麦が一面に広がる光景に着想を得て、麦畑に昇る太陽を表現したという。
長年、東濃信金の顔として来客を迎えてきたが、前身の多治見信用組合から数えて100周年となる2022年1月に合わせ、新しい本店ビルを建てることになった。現在の本店は取り壊される予定で、陶壁は移設保存が決まった。総務部の唐沢雅浩副部長(55)は「美術品としての価値も高く、立派な作品。次の時代に残したい」と話す。2階会議室のロビーに飾る予定という。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル