ただよう危険な香りと遊び心、東京ブランドのジエダ

 「東京、四月」「朝焼け」「女好き」「憂鬱(ゆううつ)」「秘密」「誘拐」「兄弟」……東京ブランドのジエダは、こんな字幕とともに、ストーリー仕立てのような映像を発表した。男たちは街角にたむろして、店でお酒を飲み、たばこをふかし、道にしゃがんで黒電話をかけて。格好つけた不良グループの雰囲気だ。

 ゆったりとしたダブルのジャケットや、襟の大きめなシャツ、絶妙なバランスにこだわりが宿る。グラフィカルなシャツは、よく見ると昔のヌード写真のような柄が大胆にちりばめられている。青春映画みたいに男たちが走る場面では、ジャケットがひるがえった裏地にちらっとこの柄が見える。

 危険な香りと遊び心がただよう今作。冒頭に掲げられた「ENTITLEMENT」(権利、資格)という言葉が想起させるものは、人によって、時によっても違うだろう。ショーではできない表現で、何度も見たくなってしまう作品に仕上がっている。(神宮桃子)


Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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