農家が減り、使われなくなった農業用ため池が増えている。国は災害時の決壊の危険性などの観点から、不要なため池の廃止を推奨する。しかし、水不足に悩み、1平方キロメートルあたりの「ため池密度」で日本一を誇る香川県では、一向に廃止工事が進まない。
県によると、約1万2千のため池のうち、2018年度からの5年間で実施された廃止工事は16件。一方、同じ瀬戸内地域で約2万のため池がある広島県では、19年から約3年半で111件が廃止されている。
この違いは何なのか。ため池の管理者らに話を聞くと、香川独自の「不文律」と隣県との「友情」の存在が浮かび上がった。
年3回の草刈り、夏場に漂う悪臭
高松市に隣接する三木町の上宮尾地区では、水が抜けて空になった「ため池」が住民の悩みの種だ。
元自治会長の長尾隆広さん(65)によると、約30年前の圃場(ほじょう)整備事業で一帯の地下に水路のパイプが引かれたことで、ため池が使われなくなった。
その後、池に水をためたままにしていたが、夏場はヘドロのような悪臭が漂う。次第に老朽化した堤防の隙間から水が漏れ出し、空になった池の底には雑草が人の背丈ほどまで生い茂る。住民は年3回の草刈りを強いられる。
そこで、住民は2018年…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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