1926(大正15)年に誕生した東京都練馬区の遊園地「としまえん」が31日、閉園の日を迎えた。お別れを言いにきた人たちで、ここ数日は埋め尽くされていた。園の入り口で3日間、訪れる人々に声をかけた。昭和の雰囲気を漂わせる園内には、世代を超えた多くの人の思い出が詰まっていた。
最終日も、青空のもとで営業が始まった。《94年間愛してくれてありがとう》。そう書かれたゲートが午前8時50分に開くと、来園者は走ってお目当ての乗り物へ向かった。コロナ禍の影響で7月から事前予約制で入場を制限しているが、この日は大勢の人たちが列をなした。
35年ぶりという千葉県野田市の木村圭都(けいと)さん(53)は、大好きな映画のロケ地にもなった園内をめぐりたくて訪れた。「昨夜はドキドキして何度も目が覚めた。さみしさと楽しみが入り交じった感じだけど、来られて感無量です」
江戸川区の市川智子さん(54)は8月中旬、約35年ぶりに来園した。学生時代にデートで訪れて以来だった。夫や娘と、炎天下で90分待って「サイクロン」に乗った。65(昭和40)年にできたジェットコースターだ。「単純な乗り物なんだけど、逆に『昭和』な感じがすごく楽しいの」。71(昭和46)年に登場した回転木馬「カルーセルエルドラド」も乗りたかったが、行列であきらめた。
そして2週間後の27日にもう…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル