もう20年以上も前のことだ。
それなのに、埼玉県に住む50代の女性は義母から言われた言葉が忘れられない。思い出すだけで、胸の辺りがひりひりする。
下の子が小学校の低学年だったころ。年末に義父母の家に帰省した時だった。
義母が尋ねてきた。
「ねえ、いつまで仕事を続けるの? 子どもたちがかわいそうよ。母親が仕事をしていたら、子どもは不良になるわよ」
なんてことを言うんだろう。驚きすぎて頭が真っ白になった。次に、のど元まで言葉が出かかった。
「だったら、専業主婦で育てたあなたの息子さんは、そんなにできた人なのでしょうか?」
幸せになるために、人生をともに歩むと決めたはず。でも、パートナーとの毎日が思い描いたものにならない人もいます。苦しみの原因は、改善策は。たくさんの「ふたりのかたち」を通して考えます。
もうこの家の人たちとは一緒にやっていけない。顔を見るのも嫌。同じ墓に入るのなんてもってのほか。
積もり積もった義理実家の全てが受け入れがたく、許せなくなったのはこの時だったと思う。
「どうして私ばっかり」が口癖だった母
結婚当初から、どうにも義父母とは、合わなかった。特に義母とは、女性が仕事を続けることへの価値観が違いすぎた。それでも、結婚した時は、こんなにも相手の「家」の存在に辟易(へきえき)するとは想像していなかった。
義母は専業主婦だった。夫が…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル