コロナ禍のなか、映画のオンライン配信に注目が集まっている。大阪で開かれる映画祭や在阪のミニシアターはどう向き合っているのか。
「配信はあくまで2番館」
拡大する第16回大阪アジアン映画祭のオープニング作品「映画をつづける」(香港、マン・リムチョン監督)
「映画をつづける」。大阪アジアン映画祭は5日、こう題した作品で幕を開けた。16年目の開催にして初めて配信を採用。期間中に上映する全70作品のうち、9本をオンラインで届ける。
時間やアクセス方法を限らない配信は、外出を控える人にとっての選択肢にもなる。ネットフリックスに代表される動画配信サービスは、コロナ下で会員数を大きく伸ばした。いまや娯楽を楽しむコンテンツの主流に躍り出ている。
だが、映画界ではオンラインが主流になることへの抵抗感も根強い。作品がどう受け止められたのか、反響をつかみきれないことも一因だ。今回も配信されるのは過去に上映されたことのある作品で、新作の61本は映画館のみで上映する。
映画祭のプログラミング・ディレクターを務める暉峻(てるおか)創三さんは「配信は2番館のイメージ」と明かす。劇場公開ありきで撮った作品を制作陣が寄せてくれるとは思えなかった。アジアでは海賊版が多く出回っており、ネットそのものへの警戒が強いという事情もあった。
また、「映画館の空気」も無視できなかったという。すでにコロナ禍に見舞われていた昨春の第15回では、観客が間隔を空けて座り、舞台あいさつもなかった。それでも、あらゆる作品の上映後に客席から拍手が起こった。「人と感情を共有することが生きる本質だと、この1年で考えるようになりました。映画祭は映画や人と偶然に出会う場です。オンラインではまだ物足りないかもしれません」
拡大する大阪アジアン映画祭のプログラミング・ディレクターを務める暉峻(てるおか)創三さん
後半では、映画と配信について、映画ジャーナリスト・大高宏雄さんの読み解きを聞きました。大阪アジアン映画祭の注目作も紹介しています。
ミニシアターがネット配信 「新作」も
客足が戻らず、厳しい経営が続くミニシアターが、自ら配信を手がける動きも出てきている。
大阪・心斎橋と東京で「シネマート」を運営するエスピーオーは今月12日、「おうちでシネマート」を始める。アジア映画500本以上が並び、目玉は日本未公開の「新作」だ。配給がつかなかった過去5年までの作品を独自に買いつけた。
「国際市場で逢(あ)いましょ…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル