鳥取県には「日本一、危険な国宝」があるという。文化財って、ゆったりと安全に鑑賞するものだと思っていた。日本一危険な国宝の正体って――。
4月下旬、記者は県中部の三朝町にある三徳山(みとくさん)(標高900メートル)を訪れた。中腹の県道から山を見上げると、木々の向こうのはるかかなたの山肌に、お宮のような建物が見える。デジカメでズームして撮影してみると、岩窟にすっぽりとはまり込むように木造建築物があるのが分かった。
建物を支えるのは、床下から岩肌に長く伸びた何本もの細い柱。なんとも頼りなく見え、確かに危険そうだ。国宝「三仏(さんぶつ)寺の投入堂(なげいれどう)」だ。
名前の由来は、慶雲3(706)年、修験道の開祖とされる役小角(えんのおづぬ)が開山し、法力で岩屋に投げ入れたという言い伝えからだ。2015年には文化庁が、日本遺産「六根清浄(ろっこんしょうじょう)と六感治癒の地~日本一危ない国宝鑑賞と世界屈指のラドン泉」に認定。「日本一危ない」のうたい文句が話題を集めた。
もっと近くで拝みたい。だが、中腹から見たとおり、岩肌にたたずむ投入堂に近づくのはたやすいことではない。
寺の受付から距離にして約900メートル、標高差は約200メートル。だが、ここは険しい行者道。過去には死亡事故もあり、登山の服装や靴が必要だ。
靴底までチェックし、いざ入山
万が一の事態に備え、単独では入山できず、受付では登山に適しているかどうか、靴底までチェックされる。記者も知人と2人で行者道に入った。
「日本一、危険な国宝」は険しい行者道の先にあります。動画では住職の教えも紹介します。
いざ、行者道のスタートとな…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル