名古屋市消防局の消防士らが2020年度以降、市内の全世帯を訪ねて災害への備えを呼びかけようとしている。19年度には家具の転倒防止器具を必要に応じて配るモデル事業を一部の地域でスタートさせた。人口約233万人の大都市で、なぜ労力のかかる取り組みに挑むのか。
「自分の身を守ってもらうために器具の設置は大切ですよ」
昨年11月上旬、名古屋市中川区の住宅街で中川消防署員が活動服で民家を一軒一軒訪ね歩き、住人に注意を呼びかけながら、家具の転倒防止器具を渡した。この日は署員26人で約500世帯を手分けして回った。火災があればすぐに出動できるように、消防車を持ち込んでの戸別訪問だった。
市消防局は昨年夏からモデル学区に選んだ約5万2千世帯を対象に戸別訪問を続ける。足を運ぶのは消防署員が中心で、区役所や消防団、住民も協力する。土日を中心に2人1組で規模に応じて数十チームが1地域に入る。
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訪問回数は1世帯当たり原則3回と手厚い。1回目は家具の転倒対策の状況を聞き取り、2回目で防災用品を手渡す。3回目は設置されたかを確認する。訪問前から転倒防止器具を設置している世帯には、スイッチに取りつけた重りが地震の揺れで落下して遮断する簡易型の感震ブレーカーや簡易消火スプレーを渡す。
市はこうした方法を軸にして、呼びかけを市内の全112万世帯に段階的に拡大する方針だ。人口規模が大きい政令指定市では消防の全戸訪問は初めての試みだという。背景には大規模災害を見据えた「発想の転換」がある。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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