街を映した車窓の風景は、ターミナル駅を出発してほどなく、一面の野原と広い空、点在する赤い建物に変わる。奈良市内を近鉄大和西大寺駅から奈良公園に近い近鉄奈良駅のある東へ向かう車中、奈良線の電車が通るのは平城宮跡。いにしえの宮城の跡だ。世界遺産で国の特別史跡の平城宮跡をなぜ電車が? 探ってみた。
平城宮は、奈良時代の710年に遷都された平城京の中央北端にあり、天皇の住まいや儀式の場、役所などがあったところ。途中、聖武天皇(701~756)が何度か都を変えたが結局戻り、桓武天皇が長岡京に遷都した784年までの74年間、平城京は国の中心として栄えた。
その後、平城宮跡は長く、地元の人以外からは忘れられた地となり、田畑になる。
近畿鉄道の前身、大阪電気軌道が着工したのが1913年月6月、営業開始が14年4月。そのころの平城宮跡は忘れられた都だったのだろうか。
「平城宮がどこにあったかは…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル