「NHK」VS「NHKから国民を守る党(N国)」のにらみ合いが、ヒートアップしている。受信料を支払った人だけがNHKを視聴できる「スクランブル放送の実現」を掲げるN国は受信料の支払い拒否をNHKに通告。
一方のNHKは支払いを求めた。元衆院議員で東京高検検事なども務めた若狭勝弁護士(62)と法的見解や政治的見地から注目の展開をチェックした。
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「スクランブル放送の実施」を唯一の公約に、N国は参院選比例区で初議席を獲得した。NHKは参院選直後に受信料負担と公共放送の立場を改めて説明した上で「スクランブル放送はNHKの役割を根本から毀損(きそん)する」と否定した。
N国の立花孝志党首(51)は今月8日、東京・渋谷のNHK放送センターに乗り込み、参院議員会館内にある立花氏の事務所に設置したテレビの受信契約を行うと同時に「契約は法律で決まっているが支払は法律ではない」と支払拒否を通告した。これを受けてNHKは9日から「受信料と公共放送にご理解いただきたい」と異例のアナウンス。そして「契約をいただいた場合は受信料を請求し、お支払いいただけない場合は法的手続きを取らせていただきます」とした。
若狭氏 受信料の契約義務(放送法64条1項)が憲法で保障された「契約の自由」に反するか問われた裁判で2017年12月の最高裁大法廷は受信料契約は「合憲」としました。多くの国民が受信料を払っているという実態があるのに国会議員が率先して払わないということは問題がある。
立花氏は「可及的速やかに私を訴えてほしい。その場合に受信料の8割は払いますが、残る2割は払いません。NHKに債務不存在確認の訴訟を起こす」とした。2割不払いの根拠は、昨年度に受信料契約をした世帯のうち受信料を支払った全国平均の支払率は81・2%。約2割が支払っていない。「支払わない人の分を事実上、上乗せした金額が設定されている」と立花氏は主張し、受信料の2割には支払義務がないとする。
若狭氏 契約に基づく債務の支払義務があります。2割だけ払わないという理屈は法的には理解できない。放送法が制定された50年当時はスマホ、パソコン、カーナビなどはなかった。令和の今、若い世代を中心にテレビを持たずにスマホやパソコンで視聴する人が増えている。だが、判例では受信料契約をしていない場合にスマホ、パソコン、カーナビなどの視聴には受信料契約と支払義務があるとしている。
若狭氏 スマホ、カーナビまでも対象となるのは、やり過ぎでは。旧態依然としたNHKのあり方や、受信料制度に対する不満や不公平感がマグマのようにたまっていると思う。今回はNHKもかなり危機意識があるはず。立花氏が主張するスクランブル放送の実現も含めて国民全体が議論を深めるいい機会だと思う。
立花氏はスクランブル放送が実現すれば、自ら議員を辞職し、国政政党となったN国を解党すると宣言している。受信料の未払い問題を口火に対立はさらに激化しそうだ。【大上悟】
◆NHKから国民を守る党 元NHK職員の立花孝志氏が13年に政治団体として設立した。立花氏は15年4月に千葉・船橋市議選で初当選、16年東京都知事選に立候補(落選)、17年11月に東京・葛飾区議選で当選。放送法の改正(スクランブル放送実現)、直接民主制など掲げる。参院選後に丸山穂高衆院議員が入党して衆参2議員、渡辺喜美参院議員と会派を組む。全国の地方議員28人。
◆放送法第64条(受信契約及び受信料)1項 協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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