のび太も怒る平日だらけの6月 「1日くらい祝日」がかなわぬ理由

 梅雨入りし、天気がぐずつきやすい6月。ただでさえ仕事や学校に行くのがおっくうなのに、平日の「黒」で埋め尽くされたカレンダーにがくぜんとしている人もいるのでは。1日くらい祝日にしてくれたって――。そんな声も聞こえてきそうですが、事はそう簡単ではなさそうです。

 漫画「ドラえもん」で、のび太が「6月」に怒りをあらわにする場面がある。春休みにも夏休みにも重ならず、祝日が1日もないからだ。

 このエピソードが初めて掲載されたのは40年以上前。当時は、企業で週休2日制の機運が高まる一方、学校の現場ではまだまだ「週休1日」が当たり前だった。

 「ドラえもん学」を提唱する富山大の横山泰行・名誉教授によれば、のび太が土曜日の学校帰りに、普段は仕事で不在のはずの父・のび助が休みで居間にいて驚く、という回もある。「のび太にとって、より6月に対する不満がたまる時代だったのだろう。ただ、今も6月を面白くないな、つまらないなと思っている人は少なくないのでは」と横山さん。

祝日新設の動きも

 そんな6月に祝日を設けようという動きは、ある。

 山形県朝日町議会は2015年9月と20年12月の2回、6月5日を「空気の日」として祝日にするよう「強く」要望する意見書を国に提出した。

 町では空気をまつる「空気神社」が1990年に建立されており、意見書には空気に感謝する気持ちを国民のすべてが心に刻もうという願いが込められている。「5日」は世界環境デーに合わせたといい、町は条例で空気の日と制定している。

 国会に足を運ぶなど訴えかけを続けるといい、「6月は祝日もなく、国民に受け入れられやすいと思う」と阿部為吉議長。

 ただ、今のところ、6月に祝日が制定される動きはない。

 祝日は戦後間もない1948年に制定された「祝日法」によって定められている。

祝日なしは6月と12月

 制定前は主に皇室の祭典が行われた日など、年11日の祝祭日が休日とされていた。だが、日本国憲法施行の際に再検討され、半年以上に及ぶ国会審議を経て計9日の祝日が選定された。

 その後、主に議員立法による法改正が重ねられ、祝日は徐々に追加。現在は年16日まで増え、6月と12月だけが祝日がない月となった。

 6月に祝日がないことについて、祝日法を所管する内閣府の担当者は、「6月に祝日をつくることを避けるルールがあるわけでなく、これまでの経緯によるところ」だと説明する。「祝日はそれぞれの趣旨や由来を踏まえて、議員立法で適切な日が検討されてきた。6月に祝日をつくるための議員立法が単純にまだ無いだけとも言える」

 最も新しい祝日は「山の日」で、2016年に新設。「海の日」が先行したことに対して、山岳団体や登山愛好家などが「山の日」制定を求める運動をし、国会では超党派の「山の日」制定議員連盟が推進役となって議員提案にこぎ着けた。

 ただ、この時は休日を増やすことに企業や教育現場からの反発などもあった。このため、お盆に近い8月11日に設定された経緯があるという。

 内閣府の担当者は「祝日をつくって盛り上げようという細かい動きはあるかもしれない。一方で、通院が必要な人など、休日が増えることで困る人もいる。様々な意見を踏まえて国会で審議されることが必要だ」と話す。

世界屈指の「祝日の多い国」

 祝日が増えることは良いことなのか。

 ニッセイ基礎研究所の斎藤太…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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